「GROW通信」連載企画

 

 

第1回:藤井亮太朗先生(東京都・上野学園中学校・高等学校 教諭)

 

上野学園中学校・高等学校は、今年で創立 117 年目を迎えた東京都台東区の共学中高一貫の私立学校です。芸術・文化の中心である上野の杜の地で、校訓「自覚」、実践徳目「親切・努力」のもと、「優しさの多様性を自覚し、Well-Being を自ら追求できる人」を育もうとしています。

 

社会では、素晴らしいアイディアとイノベーションが詰まったテクノロジーが次々に登場し、情報を核とする文化は、より広く深いものに変容しています。絶え間なく予測不能な変容を繰り返す「答えのない社会」の中で、生きる意味や価値をそれぞれの視点や環境で必死に見出そうとすることこそ「学びの本質」であり、必要な「変化」であると感じます。

 

 選択肢を多様化させるテクノロジーが社会を押し進める中で、 「よりよく生きられる」という可能性の在りかを自分で見つけられること、その過程で多くの人が関わり、常に温かい学びの場であることが、学校に求められていることであり、探究的に学ぶことの意味なのかもしれません。

 

そのような背景の中で、本校では8年前に「地域特性を活かした上野の杜サイエンス・ソーシャルフィールドワーク」を探究活動としてデザインしました。しかし、企画段階では「難関大学への進学実績作り」、「新入試へ向けた能力開発」といった側面が強く、私学特有の募集活動が優先されていたことも否めません。

 

今だからこそ大きな失敗であったと振り返ることができますが、初期の活動段階では、デザインのコアまで深く対話・共有することができず、探究の成果は進学実績として現れるのかという不安と、よく分からないが教えなければいけないという義務感をただ煽るだけの 「大人が求める結果が生徒の成長よりも優先されたもの」として伝わっていたと思います。

 

しかし、答えが一意に定まらないからこそ生徒も教員も、より良い方向へ向けて「チーム」で動きましょうと声掛けを続けたこと、 「共有」と 「再構築」の機会を頻繁に準備したこと、その中で 「人を繋ぐ優しさの多様性」への理解が深まることで、一つ一つの取り組みが言葉を超えて、生徒教員を往還しながら学校全体に伝わっていったように感じます。

 

今では、フィールドワークにとどまらず、学年ごとに多種多様な研究へと接続されるようになった本校の探究活動ですが、優しさの多様性を自覚し、Well-Being を自ら追求する人の成長の場であってほしいという当初の思いは今も共有できていると感じています。

 

次回は、藤井先生からご紹介いただきました、「コア探究」の設計と実践に取り組まれている酒井淳平先生(京都府・立命館宇治中学校・高等学校 教諭)にご担当いただきます。どうぞお楽しみに。

 


Institution for a Global Society株式会社 教育事業部