第9回:関口真弓先生(東京都・ドルトン東京学園中等部・高等部 司書教諭)

本校は東京都調布市に2019年に開校した中高一貫校です。今年度、開校4年目となります。学習者中心の理念のもと、学びの自由を保障し、自律した学習者・アクティブラーナーを育てることを目的とし、対話を重視した授業や生徒が自ら考え判断する機会が多くあることが特色としてあげられます。本校は校名に象徴されるように、ドルトンプランに基づく教育を実践しています。

 

ドルトンプランの柱としてラボラトリーが挙げられますが、本校における探究学習は、教科学習の他「基礎ラボ」・「探究ラボ」の場において実践されていますが、この設計はある程度柔軟に対応できるようなものとなっています。

 

基礎ラボは、道徳・総合(中等部)、総合(高等部)にあたる時間なのですが、年間を通じて、その時間を学年または一部ハウス(縦割りの異学年集団)で探究活動する時間として割り当てています。PBL型ベースを各学年単位で行い、探究のプロセスの基礎を学ぶ場として設定しています。中等部3年では、学びの集大成として1年間を通じて修了研究を行い、制作または論文にまとめて発表します。ただ、年度初めに各時間の使い方を固めてしまうのではなく、随時、各学年主任や異学年集団をまとめる役職の教員たちが報告・相談をしながら年度途中でも、内容や時間数の変更をしながらの運用になっています。

 

探究ラボは、自ら設定したテーマを追求する時間として週2時間設定されています。その中でもそれぞれ位置付けが異なる「テーマラボ」と「オフィスアワー」が開設されています。テーマラボは、教員が自身の専門分野を活かしたり外部専門家と連携・協働しながら高度な学びを提供する場です。一方でオフィスアワーは、自分の学習テーマに沿った教室・担当教員を予約し、学習を進めるという仕組みで、ここでの教員の役割としては、学習内容の質疑・助言を行いサポートします。テーマラボは、学びのきっかけであり大学の基礎ゼミのような位置付け、オフィスアワーはそこで学んだことを発展させたり、自主的に自分の探究テーマに取り組む場という違いがあります。

 

本校の探究活動の要になっているのは、やはりラボラトリーの仕組みでしょうか。基礎ラボで、探究スキルや探究プロセスを学び、各学年を通して協働し「体系的な探究学習」を行う。探究ラボでは個人で自らの学びを設計し、学びを深める。この両輪があってこそ、本校の探究活動において育成したい「自主性」や「創造性」が育まれると考えています。

 

とはいえ開校して4年目の本校は、まだまだ発展途上です。各教科や学年で各々探究に取り組んでいるものの、それをどのように系統立て学校として位置付けていくか、定まらない面もあります。今年度は学校のグランドデザインが完成し、全教員が共通言語を持ったことで、探究の位置付けもしやすくなりました。私は司書教諭なので、おもに探究スキルを教科学習や基礎ラボの中で、どのように身に着けていくかを担当教員と相談し、サポートする役目です。探究活動を成熟させていくためには、チームで動くこと・一人一人の興味関心に寄り添い伴走するマインドを全教員が持つことが重要と実感しています。自分の好きなことを追求している生徒の姿に励まされながら、教員も本校のモットーである「恐れず進め」の精神で取り組んでいますので、ぜひ一度見学にいらしてください。

次回は、青翔開智中学校・高等学校で探究カリキュラムの設計を担われた横井 麻衣子先生にご担当いただきます、お楽しみに。



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