第12回:向井惇子先生(広島県立広島叡智学園中学校・高等学校 学校司書)

本校は、2019年に「社会の持続的な平和と発展に向け、世界のどこにおいても地域や世界の『よりよい未来』を創造できるリーダーを育成する」ことをビジョンに掲げ開校した全寮制の併設型中高一貫教育校です。

IB(国際バカロレア)の教育プログラムを主なルーツとした探究的な学びを推進しており、中学校段階に相当するMYP(ミドル・イヤーズ・プログラム)と高等学校段階に相当するDP(ディプロマ・プログラム)の認定校でもあります。

本校では、総合的な学習の時間を含め、すべての教科において探究的な学びの実践に取り組んでおり、図書館は探究的な学びの中心的役割を果たすよう、各教科の授業を行う二つの教室棟の間に位置しています。生徒は授業中に個人やグループで活動することが多く、その間も必要に応じて図書館に自由に出入りしながらリサーチ活動を行っています。

そうした中、私は学校司書として、図書館の蔵書を充実させるだけなく、生徒のリサーチ活動をサポート。例えば、世界各国の調査を行い、その結果を1枚のリーフレットにまとめる社会科の課題の際には、あらかじめ調査の対象となる国の資料を収集し排架しておきます。また、有用なHPなどのURLも蔵書検索システム上に表示させるなど、多様な媒体を通じて生徒の学びを多面的にサポートしています。

生徒へのサポートだけでなく、各教員から授業の方向性などについてヒアリングをしながら必要な資料の準備や提案も行っていますが、生徒や教職員が気軽に相談や問い合わせができるよう、学校司書は図書カウンターに常駐。中には対応が難しい問い合わせもありますが、調査したい事柄やどのようなレポートを作成したいかなど生徒の声に耳を傾けながら調査内容を明確にし、関係する文献や資料などを探す援助もしています。

IB認定校である本校が探究的な学びを行う上で重視していることは「学問的誠実性」です。特に、リサーチ活動を行う際は、適切に引用することや、参考文献を正しく記述することは不可欠ですので、学校司書として教員と連携しながら、ときには授業にTeachingAssistantとして参加しながら生徒が引用箇所や参考文献を正しく示す方法を身に付けるためのサポートも行っています。

次回は、WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)拠点校である、奈良県立国際高等学校の校長 中尾雪路先生にご担当いただきます。お楽しみに。

 

Institution for a Global Society株式会社 教育事業部