第31回:松岡 大地先生(山形県米沢市 九里学園高等学校)

本校は、1901(明治34)年に九里裁縫女学校として山形県米沢市に開校し、創立122周年を迎えました、山形県内でもっとも古い私立学校です。

「礼:人間の尊厳を信じ、その高貴さにふさわしく行為しよう」と「譲:自らの持てる力を発揮して愛する世の人々に捧げよう」の校是と「協同和楽:お互いに力をあわせ、すばらしい集団づくりに参加しよう」の精神の下、教育活動を展開しています。  

山形県の高校としては早期から海外留学生の受け入れや、アメリカ、オーストラリアの高校との交換留学や研修旅行など、海外との交流も取り入れ、平成27年度にはSGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)アソシエイト校に、そして、令和元年度からは「地域との協働による高等学校教育改革推進事業 グローカル型」に指定されました。本校ではこれら文部科学省事業の指定を受ける以前から課題研究での学びに取り組んでおり、探究学習の土壌がありましたが、世界と地域をより意識した探究学習の体系的なカリキュラムの必要性を感じ、学校として構築に取り組んできました。 

 

本校の探究学習のポイントは①「グローカル(グローバル×ローカル)な学び」と②「グループPBL⇒個人PBL」の二つです。

 

  1. 「グローカル(グローバル×ローカル)な学び」
    解決すべき社会課題をグローバルとローカルの二つの視点から考えるようなカリキュラムを設定しています。例えば「貧困問題」を考えるとき、世界の貧困問題を学ぶと同時に、国内での相対的貧困、子どもの貧困、ヤングケアラーなども併せて学びます。これにより、世界各国が行っている取り組みや先進事例を参考に国内の問題解決へ応用できないかを考えることで、グローバルな視点とローカルな視点での学びが同時双方向的に作用し合い、螺旋構造的に発展していくようにカリキュラムを構築。そのほかにも「食糧問題」「多文化共生」「難民・移民」「気候変動問題」「環境・エネルギー問題」など、扱うテーマも多種多様に設定しています。同時に、地域フィールドワークや海外研修をカリキュラムの一部として組み入れ、また大学教授やJICAとも連携しながら学びを深めています。

  2. 「グループPBL⇒個人PBL

地域の社会的課題の解決を自治体や企業、留学生と協働しながら、PBLで取り組んでいます。はじめに各テーマごとでグループに分かれてテーマを探究し、共通のプロジェクトを進めていきます。その過程で探究の方法や進め方を体験的に学んだあと、次は自分の関心のあるテーマを探究し、プロジェクトを設定し、個人で進めていきます。実際に地域に繰り出して、フィールドワークや地域の方々へのインタビューを積極的に行い、一次情報を五感で学ぶように推奨。プロジェクトの成果は「全国高校生 MY PROJECT AWARD」(主催:全国高校生マイプロジェクト実行委員会)をはじめとする外部での発表の場も活用しながら発信するようにしています。また、国内だけでなく昨年度は台湾に行き、現地の高校生に向けても発表しました。プロジェクトの成果を国内外に幅広く発信することで、山形県の地域課題や魅力の発信につながることも期待しています。

私たちが大切にしていることは、生徒の「学びの器」を広げることです。どんなに良い学びも興味や関心がなければ、「学びの器」からこぼれてしまいます。すると学びが押し付けになり、生徒は「やらされている感」を抱き、学びが退屈なものになってしまうかもしれません。反対に、いろいろなものごとを探究していくことで、その過程で疑問や問いが生まれ、そこから知的好奇心が生まれます。その好奇心が「学びの器」を少しずつ、広げることにつながります。

その結果、生徒はどんな学びに対しても主体的になり、自律的に学びに向き合うようになっていきます。実際に本校でも、探究的な学びが好奇心へとつながり、教科学習に良い影響をもたらした生徒が多く見られました。私たちはそのような生徒たちを目の当たりにしたからこそ、この「学びの器」の重要性を感じることできましたし、校内での探究学習への理解者を増やすことができたのではないかと信じています。

本校の取り組みが少しでも先生方の学校の探究の進め方やカリキュラム編成の参考になりましたら幸いです。

九里学園高等学校:
https://kunori-h.ed.jp/


次回は、横浜国立大学教育学部 附属鎌倉小学校の安田 雄貴先生にご担当いただきます。ぜひお楽しみに。

 

Institution for a Global Society株式会社 教育事業部