第34回:瀧村尚也先生(麗澤中学・高等学校)

本校は、1935年に法学博士の廣池千九郎が現在のキャンパス(千葉県柏市光ヶ丘)に開塾した道徳科学専攻塾を前身とし、1951年に麗澤高等学校と改称。その後、2002年に附属中学校を開校しました。2015年には中高一貫コースの「叡智コース」を新設し、グローバル社会の中で、冷静かつ客観的に物事の本質を見抜き、複雑な諸問題を解決していく総合的な人間力である「叡智」を携えた真のリーダー育成を行っています。また、開校以来蓄積してきた研究成果と実績を生かしながら麗澤らしい教育活動を展開する中で、予測不能なVUCA時代を生き抜くために必要なスキルを身に付けるため探究学習にも注力。今回はアントレプレナーシップ教育を実践する部活動「SDGs研究会」の取り組みをご紹介します。

この部活動の最大の特長は、生徒は学校から資金援助を受けず、自分たちで活動資金を生み出し、持続可能なビジネスモデルに沿って運用していることです。実社会と同じく実際に現金で仕入れを行い、商品・サービスなどを販売するという一連の事業活動を体験することで「起業家精神(アントレプレナーシップ)」の涵養を図ることが可能となっています。アントレプレナーシップ教育とは、起業に限らず、新事業創出や社会課題解決など、新たな価値を生み出す姿勢や発想・能力などを身に付けるための教育を意味し、実際にお金を扱うことで、お金の「稼ぎ方」だけでなく、お金の「使い方」や「価値」を学ぶことができます。

また、一般的な会社と同じように経理部やシステム開発部などの部署を設置し、役割を明確化することで、すべてが生徒主体の活動になります。活動は企画立案した内容に賛同した他の生徒と協働でプロジェクトを実行する方式。フェアトレードコーヒーの企画をはじめ、レモネードスタンド企画、SDGs啓発企画など9つの企画が同時に進行しています。部活動のため、横のつながりだけでなく、縦のつながりも自然と生まれ、活動の経験やノウハウだけでなく、思いも併せて下の学年に継承されていくため、活動を継続的に行うことが可能に。2024年度からは活動をさらに発展させるために、産学連携を積極的に図っています。企業の強みである豊富な経験や実績、そして専門的知識と、学校の強みである柔軟な発想力や強い思いというそれぞれの強みを生かすことで、社会に新しい価値を生み出すことにつながればと期待しています。

これらの取り組みは社会的な評価にもつながり、「エシカル甲子園(主催:徳島県教育委員会・徳島県)」では、2021年・2022年大会で優秀賞を受賞し、2023年大会では最優秀賞を受賞することができました。オリジナル商品の開発と販売、福祉の視点からウェルフェアトレードの活動を展開しており、活動での収益が持続可能な社会づくりにつながっている点などが高く評価された結果です。2023年度からは、SDGs研究会が行ってきた活動のビジネルモデルを外部の学校に無償提供し、フランチャイズ化して、日本全国にチェンジメーカー(活動家)を増やす活動を始めました。他校にビジネスモデルを拡大するに当たって、企画書や、出店の際に準備するものなどをマニュアル化し、知識や経験がなくても始めることができるように工夫を行い、各自の学校のニーズに合わせて対応できる体制を構築しています。もし興味をもってくださる方がいれば、以下のオンラインショップの「問い合わせ」からご連絡をいただけると幸いです。

■ 麗澤中学・高等学校 SDGs研究会 活動紹介動画
https://youtu.be/KjVafjoklHk?si=wQiOydT0LFtn-keS

■ 麗澤中学・高等学校 SDGs研究会 オンラインショップ
https://rjshsdb.thebase.in/

次回は和歌山信愛中学校・高等学校の大村寛之先生にご担当いただきます。ぜひお楽しみに。

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