第13回:中尾雪路先生(奈良県立国際高等学校 校長)

 

本校は2020年に奈良市に開校した国際科の単科高校です。「多様な人々とのコミュニケーションを通して、グローバルな視点でものごとを捉え、国際社会の平和と発展に貢献する資質・能力を育成する」ことをミッションとしています。

 

このスクール・ミッションを実現するため生徒に身に付けさせたい6つの力を「探究力」「創造力」「協働力」「寛容さ」「挑戦力」「キャリアデザイン力」に設定。ルーブリックを生徒、教員、保護者と共有しながら、教育活動全体をデザインしています。​​

 

本校の基幹科目が、「グローバル探究」(週3時間全学年必修科目)です。1年生では共通テーマに取り組み、2年生からは6つのテーマを設定し、ゼミごとに2名の教員が担当しています。

 

探究を進める上で特に大切にしているのが、当事者意識をもって課題を発見する力です。データ処理やプレゼンテーションなどのスキルはあとからでも育ちます。サクサク進む探究ではなく、もやもやしたり、回り道したりしながらも、自分自身に向き合い、生涯の「問い」を見つけることができるような探究を学校全体で行いたいと思っています。

 

この探究を実現するためには、さまざまな問いを立てた生徒ととも教員が悩み、考え、学ぶことが何よりも重要です。一方で、先生方は本当に忙しく、それを全教員で共有し、じっくり話し合う時間を思うように確保できないことが一番の悩みとなっています。

 

こうした中、2022年度より思い切って定期考査を撤廃し、その期間を「個人探究週間」としました。期間内に全校生徒で探究に取り組む日を設定し、異学年でのゼミ交流を実施しています。活動のファシリテーターも生徒が行います。異学年交流を通して自身の問いに真剣に向き合3年生の姿を間近に感じることで、1年生、2年生の探究が深まり、3年生も1・2年生の学びからさまざまなヒントをもらって探究に生かすといったような、相乗効果が生まれています。指導に当たる先生方も、探究による生徒の3年間の成長に関するイメージを具体的にもつことができるようになったみたいです。

 

これからも、まずは教員自身がもやもやしたり、回り道したりしながら本校らしい探究を深めていきたいと思っています。機会がありましたら、ぜひご来校いただき、悩める生徒や私たち教員にアドバイスをお願いしたいです。

次回は、近江兄弟社高等学校 ASC(Arts & Science Class)指導部長 松岡弓弦先生にご担当いただきます。どうぞお楽しみに。

 

 

 

Institution for a Global Society株式会社 教育事業部